杖を頼りに歩きながら

足がもつれる。冬を越すのは、意外と大変な作業である。安眠を貪り、惰性に胡座をかいているうちに、まともに歩けなくなった。気がつけば、腕も重たい。重力の負荷に耐えきれない。たぶん長い時間掛けて飛び降り自殺をしているようなものだ。少しずつ少しずつ重力に圧殺される。その瞬間を待つだけである。かび臭い空間で、俺の周囲にある錠前は、どれも俺の鍵では開かない。あらゆる局面が完全に詰んだ状態。ここからが長い。