洞穴

薔薇園で余生を過ごしている予定だったのに、いつの間にか最下層までたどり着いてしまった。たぶん最初から底辺にいたのだろう。これが変わると誤魔化していただけだ。洞穴の中で暗灰色の世界にひたりながら、下策を重ねた過去の自分を想うのである。拙劣でお粗末で、あまりにも詰めが甘い、そういう来歴を想う。脳の中で記憶を掘り起こすだけで、溢血しそうである。上を見上げても星辰の瞬きは見えない。見えるとしても、それは他人のためのものであり、俺のものではない。これが結末であり、決して変化しないことを不承不承認めるしかないのだろう。